令和3年12月17日に大阪市北区で発生したビル火災では、死者25名を出す大きな被害が発生しました。
総務省消防庁では、現地に職員を派遣し、関係機関とも協力の上、消防法(昭和23年法律第186号)第35条の3の2の規定に基づく消防庁長官の火災原因調査を行っているところです。現時点で出火原因は特定されていませんが、地上へ直通する階段が1の防火対象物で、当該階段付近の4階部分で出火し、建物内に煙や熱気が充満することで、多数の逃げ遅れが生じたものと考えられます。
このような状況を踏まえ、管内の防火対象物に対して緊急点検するよう指示が出ました。
緊急点検(立入検査)対象とする防火対象物は、消防法施行令(昭和36年政令第37号)第4条の2の2第2号に該当する防火対象物(特定一階段等防火対象物)です。
特に、避難経路となる階段等の施設に避難の支障となる物件が置かれている場合や、防火戸の閉鎖の支障となる物件が置かれている場合は、火災発生時に被害が拡大することが予想されることから、消防法第5条の3の規定に基づく命令を行うことなどにより、直ちに物件の除去を行わせることとありました。
総務省|報道資料|大阪市北区のビル火災を受けた緊急立入検査について
総務省|報道資料
令和3年12月17日に大阪市北区で発生したビル火災を受け、総務省消防庁から全国の消防本部に対し、今回の火災建物と類似の階段が一つしか設置されていない雑居ビルを対象に、火災時の避難経路等について緊急立入検査の実施を別紙のとおり要請しました。https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01shoubo01_02000505.html
消防吏員の誰もが知るビル火災は、2001年(平成13年)9月1日未明に東京都新宿区歌舞伎町の雑居ビルで起きた火災です。44人が死亡し、3人が負傷する被害を出したこの火災は、日本で発生した火災としては戦後5番目の被害です。そして、この火災を契機に消防法の改正が行われ、自動火災報知設備の設置義務対象や設置基準が強化されました。併せて、違反是正の徹底、罰則の強化などがされました。(歌舞伎町ビル火災『ウィキペディア(Wikipedia)』)
ガソリンを用いた放火といえば、京都アニメーションの放火が記憶に新しいとこです。このときは、総務省令改正で、従業員は客の身元と使用目的を確認し、氏名や住所、販売日・量を記録することが義務付けられました。
今回の大阪での火災。何らかの法改正があるかもしれません。ただ、悪意ある放火殺人事件において、ルールによってどこまで被害を防ぐことができるのでしょうか。現場で無力感を味わった、同志たちの心のダメージが少しでも早く回復することを祈ります。
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