-弘前医療福祉大学短期大学部でのワークショップ開催報告-
日本救急救命学会教育研修部会の委員2名をコーディネータとして、弘前医療福祉大学短期大学部救急救命学科において、救急現場におけるコミュニケーションをテーマとしたワークショップを開催しました。参加者は国家試験を間近に控えた3年生20名で、将来の救急救命士として必要不可欠なコミュニケーションスキルの向上に熱心に取り組みました。
ワークショップでは、以下の実践的なテーマについて、グループワークとロールプレイを通じて学習を深めました:
ペーシング技法の習得と実践
限られた時間の中で、いかに傷病者や関係者との信頼関係を構築するかは救急救命士の重要なスキルの一つです。参加者たちは、相手の話し方やテンポに合わせるペーシング技法を学び、実際の現場を想定した実践練習を行いました。成功事例だけでなく、失敗例についても共有し、その原因と改善策について活発な議論が展開されました。

特殊なコミュニケーション状況への対応
加齢性難聴の傷病者との意思疎通など、通常のコミュニケーションが困難な状況における対応策を検討しました。単にコミュニケーションを諦めるのではなく、代替手段や工夫について、参加者同士で意見を出し合い、実践的な解決方法を見出していきました。

緊急時の適切な判断とコミュニケーション
Load and Go(即時搬送)が必要な場面であっても、現場に居合わせた関係者やバイスタンダーとの良好な関係構築の重要性について学びました。限られた時間の中で、いかに必要な情報を収集し、適切な対応を行うかについて、具体的な事例を基に検討を行いました。
効果的な病院連絡の方法
従来のMIST(傷病者情報伝達の標準形式)に加え、状況の要点を端的に表現したタイトルを付けることで、より効率的な情報伝達が可能になることを学びました。参加者たちは実際の現場を想定し、簡潔で的確なタイトル作成の演習に取り組みました。

交渉術の向上
救急隊員として直面する様々な困難な状況における交渉術について、実践的な演習を行いました。参加者には自身の交渉場面を自撮りで記録してもらい、それを基に自己のコミュニケーションスキルを客観的に分析・評価する機会を設けました。

本ワークショップを通じて、参加者たちは救急救命士として必要なコミュニケーションスキルの重要性を再認識し、実践的な技術を習得することができました。今後も継続的な学習と訓練を通じて、さらなるスキルの向上を目指していきます。

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