迷惑メール扱いで不受理となったケースも|聴覚障がい者向け119番通報を考える

不祥事

沖縄県消防指令センターは12月20日、聴覚や発語障害がある人がメールで緊急通報するシステム「メール119」の受信の際、1件の通報が迷惑メールフォルダに振り分けられたのを職員が確認せず、誤って不受理としていたと発表した。
11月29日午後11時5分ごろ、本島在住の女性が「お腹が痛いので自宅に来てほしい」とメールで通報したが、指令センターの迷惑メールフォルダに振り分けられた。当時の職員は受信フォルダのみ確認し、気付かなかったという。
12月8日午前9時20分、別の職員が通信テスト中、迷惑メールフォルダ内を確認し判明した。通報した女性はその後回復したという。
センターの職員が後日、女性と面会し、謝罪と原因の説明などをしたという。センターは再発防止として全メールが受信フォルダに入るよう設定し、受信確認を徹底するとしている。(沖縄タイムス+プラス ニュース https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/882793)

「お腹が痛いので来て」119番メールが迷惑フォルダに 沖縄の消防が誤って不受理 聴覚・発語障がい者が利用 | 沖縄タイムス+プラス
 沖縄県消防指令センターは20日、聴覚や発語障害がある人がメールで緊急通報するシステム「メール119」の受信の際、1件の通報が迷惑メールフォルダに振り分けられたのを職員が確認せず、誤って不受理としていたと発表した。

 消防の通信指令センターが聴覚障がい者向けに提供する緊急通報サービスは主要なもので次の3つがあげられます。

FAX119

救急用や火災用に最適化された様式に書き込んだ内容を、通報者が自宅などに設置されている一般的なFAXで119番をダイヤルして送信します。それを受けた通信指令センターは、通常の119番通報と同じ指令台で受信するのですが、「ピーガガガガ」というFAXの通信音を聞いた時点で、自センター内にあるFAXにそのまま転送を行います。出力された用紙を見て、要請地点と内容を確認して救急車や消防車を向かわせます。通報者には「通報を受け付けました。すぐに救急車(消防車)がそちらに向かいます」というFAXを返信します。

メール119

消防の通信指令センターが運用するメールアカウントに、通報者が自分のパソコンやスマホ等からメールを送信して通報します。特別なサーバーではなく、普通のISPが提供するメールサーバーで運用されています。受信するソフトは地図や消防車の部隊編成ができるソフトと連携されている場合もありますが、小規模な消防組織では一般的なメーラーが使われています。そのため、迷惑メールフォルダへの振り分けなどの問題が発生する場合があります。受信したメールの内容から、必要な車両を出動させます。通報者には内容を受け付けて出動させたことを返信します。

ネット119

携帯電話やスマートフォンを使って、専用アプリにより緊急通報するシステムです。運営する企業は国内で数社あり、導入している消防指令センターでもそれぞれでした。初期のころは相互に互換性がないことが問題視されていましたが、最近はそれも解消されて、日本中どこでもそれぞれのアプリで通報できるようになりました。自己の発信地点を要請場所として伝達できたり、チャット機能の入力が定型化されていて迅速に通報することができます。指令センターでは受信したデータをもとに必要な車両を出動させます。ちなみに同じアプリで110番通報も可能です。

Net119緊急通報システム | 消防救急無線・119番緊急通報 | 総務省消防庁
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FAX119とメール119は設備投資もほとんど必要とせず、維持費も安いので大体の消防指令センターで導入されていると思います。ネット119については、コストがかかります。規模や契約内容にもよりますが年間数百万円かかる場合もありますので、小規模なセンターでは導入を見合わせているところもあります。そのため、未導入の地域からネット119で通報した場合の対応が課題となっています。

聴覚障がい者の情報は、利用者からの登録制です。提供された情報は通信指令台などで名簿管理されていることが多いです。利用者の電話番号はすべて個人情報とリンクさせているので、登録された電話番号からの通報であれば、誰からの通報であることは、瞬時に判断できます。
年間何万件と受信する指令センターでも、聴覚障がい者から受報するケースはまれであるといえます。しかし、公共サービスとして手段を全くなしにするわけにはいきません。聴覚障がい者だけでなく多様な利用者の立場に立って、安心して過ごせる体制の構築が必要であるということは言うまでもありません。

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