救急救命士法改正で病院救命士が爆誕|Q and A

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救急救命士による重度傷病者への救急救命処置を新たに医療機関内でも認める改正救急救命士法が2021年10月に施行されました。従前から救急救命士を雇用する医療機関はもちろんのこと、これから救急救命士に期待を寄せる医療機関にとっても、「じゃぁ、救急救命士ってどんなことができるのか?」「職場として何から手をつけたらいいのだろう?」という意見が多いのではないでしょうか。
ここでは、代表的な???をピックアップし、Q and Aでお答えしたいと思います。

Q.救急救命士法改正って具体的に何が変わったの?

A.従来、救急救命士が働ける(救急救命処置を行う)場は、「病院又は診療所への搬送のため重度傷病者を救急用自動車等に乗せるまでの間」という定めがありました。今回の改正で、「病院若しくは診療所への搬送のため重度傷病者を救急用自動車等に乗せるまでの間又は重度傷病者が病院若しくは診療所に到着し当該病院若しくは診療所に入院するまでの間において救急救命処置を行うことが必要と認められる場合はこの限りでない」となりました。
つまり、現場や救急車内に限定されていた職場が院内の救急外来などに限り就業できるようになったのです。


Q.このたびの救急救命士法改正の目的は?

A.令和3年2月2日、第204回国会に厚生労働省から提出された「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」を契機としています。
この法律では、医師の働き方改革を軸に医療関連職種の業務範囲の見直し、医師養成課程の見直し、新興感染症対策の医療計画への追加などが取り上げられています。
中でも医師の業務を他職種にタスクシフトし、年間960時間を超えて働く約8万人の勤務医の負担を減らす策が救急救命士法改正につながったわけです。


Q.院内のどの部署で働けるの?

A.今回の法改正によって、医療機関に搬送された後、入院するまでの間(入院をしない場合は医療機関に滞在している間)となっています。
患者が入院した後は原則として業務を行うことはできません。


Q.救急救命士って何ができるの?

A.令和3年9⽉時点で、33項目の救急救命処置が行えます。
救急救命処置とは、重度傷病者(症状が著しく悪化するおそれがある、または⽣命が危険な状態にある傷病者)を対象として⾏われる緊急に必要な処置を指します。

救急救命処置の範囲


Q.病院に勤務する救急救命士は乳酸リンゲル液以外も輸液していいの?

A.医療機関に所属する救急救命士だからといって、実施可能な救急救命処置が増えるわけでありません。
消防機関に所属する救急救命士もその他の救急救命士も同じ救急救命士の資格ですので、処置範囲は変わりません。
そのため、医療機関内においても救急救命士は乳酸リンゲル液以外を輸液することはできません。


Q.入院中の患者が急変して心肺停止になっても救急救命士は処置をしてはいけないの?

A.患者が入院した後は救急救命処置の実施範囲外のため、救急救命士法の上では処置をすることはできません。
ただし、救急救命士が急変した患者の第一発見者などで、十分な医療を提供する環境が整っていない場合は、緊急避難として心肺蘇生法を実施することなどは問題ありません。


Q.救急隊の救急救命士も医療機関内で処置をしていいの?

A.救急救命士法上は医師の指示があることや対象が重度傷病者であること、実施した救急救命処置については救急救命処置録を残すことなどのルールを守れば医療機関内で処置を行うことは可能です。
ただし、令和3年6月7日に消防庁救急企画室長が発信した「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」の公布に係る周知について(通知)(消防救第 184号)には、「現状、消防機関の救急隊が医療機関に患者を搬送する際には、速やかに医療機関側に患者の引継ぎを行い、次の救急出動に備えることとしており、この 取扱いは今回の改正後も変わることはなく、消防機関に所属する救急救命士 が救急救命処置を実施するのは、あくまで医療機関に患者を引き継ぐまでの 間となること。」と明記されています。

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