元首相が強襲された事件から国民が持った二つの疑問

応急手当

国民の多くがショックを受けた事件。
医療従事者の助けを求める声、AEDの手配を叫ぶ人、一般の方により行われた胸骨圧迫。
眼を覆いたくなるような現場の中で繰り広げられた救命の連鎖のリアルがありました。

日本で唯一のAED推進に特化した法人組織として設立されている、一般社団法人日本AED財団から、あるコメントが出されました。
この凄惨な事件を機に、国民が持った2つの疑問に対する回答だったのです。
読者の誤解が出ないようにとの配慮か、結構な長文となっています。
ここでは、その内容に語弊がでないように紹介します。

心停止(心肺停止)であっても、AEDが有効でない場合があるのか

結論からすると、どのような状況でも心停止を疑ったら、直ちにAEDを使用してその指示に従うことが必要としています。
本文では、心臓が停止しているという状況について、まず心臓がどんな状態であるかを連想させています。

○心臓が細かく震える状態(心室細動)→AEDによるショックが必要
×心臓が弱くなって止まっている状態→ショックは不要

そして、電気ショックが行われたとしても、胸骨圧迫は絶え間なく行うことが必要であると強調しています。
一般の方は、電気ショックが行われた後、すぐに倒れた人が目を覚まして
「俺はどうしていたんだ」
みたいな言葉を発すると連想してしまうのではないでしょうか。
映画やドラマの影響もあるかもしませんが、現実はそうではありません。
電気ショックをして、震えが止まった心臓はすぐに力強く拍動することができないのです。
AEDが「体に触っても大丈夫です。胸骨圧迫を開始してください」とアナウンスすれば、すぐさま胸骨圧迫を再開しなければなりません。

出血している人に胸骨圧迫をして良いのか

心停止の原因が出血なら、まずは血を止めないといけないのではないか。
救命講習会の際にも多くの方から受ける質問です。

倒れている人が心停止(反応も呼吸もない、あるいは普段通りではない状態)であれば、その原因に関わらず直ちに胸骨圧迫を開始して下さい。

理想としては、原因となっている出血を止めてからとしていますが、人が倒れて心停止という状況です。
正確に出血している場所を見つけて、清潔な布で直接圧迫して、自分は出血に直接触らないようにして・・・これはなかなか難しいと思います。
手当をする人も必ず複数人必要です。
そして、本当に出血が原因で心停止に陥っているのかどうかも判断が難しいこともあります。
血液というのは、多く感じますからね。

ですから、行きつくところ、どのような場面においても胸骨圧迫の開始を遅らせたり、中断させたりしないようにするというのがポイントとなります。


偉大な日本のリーダーだった、安倍晋三元総理のご冥福をお祈りいたします。
そして、この事件において、氏の救命に関わられたすべて方々に対して、ねぎらいの意を表します。

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