消防官って専門卒や大卒がいいの?高卒でも大丈夫?

消防行政

高校生の皆さんから、進路についての相談を受けることがあります。
将来、消防官になりたいが、高校を出たらすぐに採用試験を受けるか、それとも大学に進学してからにしたほうがいいか。

人生のかかったことですし、とても悩ましい事柄です。
また、昨今は大卒者が高卒と偽って公務員に就き、あとで処分を受けるケースもあります。
大学を出てから、高校を出たときに受ければよかったと後悔するのもいやだし。と考えてしまいます。

では、現実的なところから検討してみましょう。

初任給の違いは?

まずは初任給から(和歌山県下の消防本部を例としています)。

高卒150,600~180,100 翌年度昇給で4,300Up~
大卒171,700~221,100 翌年度昇給で10,500Up~

初任給は大卒のほうが高いし、昇給額も大きいことがわかります。やっぱりスタート地点が違うからです。

ただ、生涯年収はそんなに変わらない(https://venture-finance.jp/archives/30436)との意見もあることは事実です。
ちなみに、専門学校卒は短大卒という枠で、高卒と大卒の中間となります。

収入というのはモチベーションへの大切な要素です。
日本全国、どの消防でも同じ給料だと思ったら大間違いです。
政令市と小さな単独町消防では基本給すら雲泥の差です。
学歴以上の差がついてしまいます。
就職するなら、少しでも大きい組織を目指したほうが後悔は少ないでしょう。

昇進の違いは?

次に出世はどうでしょうか。

大卒のほうが出世が早く幹部(階級でいうと司令長レベル)になりやすいともいわれています。
消防士から一つ上の階級である消防副士長に昇給するタイミングは、高卒なら5年前後、大卒なら3年前後というのが一般的です。
そこから、着実に1つずつ階級をあげていくのです。
ただし、昇任試験や職階級制をひいている自治体などで違いはあります。

本当のところ、あくまで個人の能力や目標達成による人事評価が大きく関係するので、40年前後働いてみないと結果は誰もわかりません。

双方にある利点

幹部になると基本給があがるので退職金や退職後の再任用、再雇用で有利になります。

手取りだけで考えれば、生涯現場に出るという選択肢もありです。
管理職にならず4級(階級でいうと司令補あたり)で交代勤務して出動手当や休日手当がウハウハの職員もいます。
もちろん、現場が好きでカバーできる体力があることが前提なので、それなりの努力が必要なのは言うまでもありません。

高校を卒業後すぐに働きだした場合、4年間早く(長く)現場に出る分、経験は積めます。
救助隊などの年齢制限がある部隊に所属したいなら高卒から消防官を目指すもありかもしれません。

以上のように、はっきりとした答えは出ません。

高卒、大卒、それなりにいいところも足りないところもあります。

ただ、私が30年以上消防で働いて、新人君の仕事への姿勢を見ていると、どちらかというと大卒の彼らのほうが、仕事への意欲や社会通念といったものが充実しているように見受けられます。
それだけ、社会で揉まれているからなんですかね。
けっして高卒が劣っているという意味ではありません。彼らも働き出して4年もすれば、すっかり様変わりしますから安心してください。
色々、出だしで差があっても、みんな10年くらいしたらいっぱしの火消しの顔になり、「住民利益が~」とか語りだしますから不思議です。

要は、この仕事が好きかどうかであって、そのプロセスはさほど問題ではないのかなと考える次第です。

前段にも書きましたが、少しでも大きな自治体消防に就職することを目指すのが、悔いのない人生に繋がります。そのため、大学でも、高校でも、一生懸命勉強して、しっかり体作りもしておくことが選択肢を増やすことに繋がります。

それから、友達をたくさん作ってコミュニケーション能力を高めましょう。
チームワークのいる世界ですからね。
じっくり自分を育ててください。
ここしばらくは公安職の求人は絶えることなくあると思います。

最後までご覧いただきありがとうございます。

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